センター長あいさつ

 昔Apple ][というPCで遊べる古代ローマが地中海世界から中東までを支配していくゲームがあった.いわゆる「○○の野望」のローマ版なのだが,指揮官の優秀さは声の大きさによって反映されるという独特なシステムが組み込まれていた.優秀な指揮官であれば全部隊のほぼ中央に居ながらにして,すべての部隊に命令を下せるが,そうでない指揮官は,あちこち走り回って少しづつ命令を出さねばならず,柔軟性に欠ける指揮を行わなければならなかった.もちろん,これは指揮官の能力を表すための方便なのだが,面白いシステムであった.このように指揮下の部隊にいかに命令を伝達するか,というのは古代より軍事において極めて重要であった.
 前置きが長くなったが,現代の大学における教育・研究もコンピュータネットワークという伝達手段なしには行い難いものである.たとえばインターネットが発達していなかった時代の論文投稿は,航空郵便がアメリカであれば5日,ヨーロッパであれば7日かかるということを前提に早めに行う必要があった.現代では締切り5分前で十分間に合う.先行研究の調査もオンライン文献データベースを使えば効率的に行える.学生に配布する資料はLMS経由だし,学生はそれをスマートフォンでダウンロードする.
 大学においてそのような効率的な教育・研究を行うためには,安定して稼働する高速なネットワークインフラが必要不可欠である.それを支えているのが総合情報処理センターであり,専任教員や職員の皆さんは日々そのような責任を痛感しつつ様々な業務に励んでいる.唯一,航空郵便世代の私が役立たずなのかもしれない.
 最初に紹介したゲームでは,歩兵が主力のローマ軍にとって最大の脅威だったのは東方の騎兵大集団であり,前進と後退を繰り返しながら,各個撃破に持ち込んでようやく勝利を得た記憶がある.標的型攻撃やマルウェアに代表される様々なセキュリティ上の脅威はまさにこの騎兵の大集団に相当するものだろう.総合情報処理センターでは島大CSIRTとも協力し,一進一退ではあるが,重大なインシデントを未然に防止すべく文字どおり日夜戦い続けている.
総合情報処理センター長  會澤 邦夫